
iPhone 15じゃないと使えないって聞いたけど…私の古いiPhoneは大丈夫?Walletから追加すればいいんでしょ?
2025年6月24日から、iPhoneでマイナンバーカードが利用可能になりました。
しかし「iPhone 15なら使える」「Walletから追加すればOK」といった情報は完全に間違いです。
多くのメディアが「対応機種はiPhone 15以降」「Apple Walletから登録」と報じていますが、実際には2018年発売のiPhone XSやXRでも利用可能で、登録はマイナポータルアプリから行うのが正しい方法です。
「え、私の古いiPhoneでも使えるの?」「Walletじゃないってどういうこと?」と驚かれる方も多いでしょう。
このページでは、巷に溢れる間違った情報を正し、本当の対応条件と正しい設定方法を詳しく解説していきます。
なぜ「機種名」では判断できないのか
対応を決める本当の条件
多くのサイトが「iPhone 15以降対応」と書いていますが、これは完全な誤解です。実際の対応条件は以下の技術仕様で決まります:
真の対応条件
- NFC Type B対応(マイナンバーカードの通信規格)
- セキュアエンクレーブ搭載(iPhone 5s(2013年)以降)
- iOS 18.5以降対応
2018年以降の製造(政府とAppleの技術協定による)
製造年の縛りは公式要件ではありません。iOSのバージョンと対応機種(XS/XR以降やSE第2・第3世代)が判断基準です。
つまり、iPhone XS/XR(2018年発売)以降なら基本的に利用可能ということです。
実際に使える・使えない機種の真実

✅ 利用可能(2018年以降製造)
- iPhone XS, iPhone XS Max, iPhone XR(2018年)
- iPhone 11シリーズ(2019年)
- iPhone 12シリーズ(2020年)
- iPhone 13シリーズ(2021年)
- iPhone 14シリーズ(2022年)
- iPhone 15シリーズ(2023年)
❌ 利用不可能
- iPhone SE(第2世代・第3世代は対応しており、iPhone XS/XS Max、XR、11~16シリーズとあわせて利用可能です。)
- iPhone X(対応はXS/XR以降)機種要件によるものです。)
- iPhone 8以前 ← セキュアエンクレーブ・NFC仕様の問題
「Walletから追加」は間違い。正しい登録方法

なぜ多くのサイトが間違えるのか
Apple公式や多くのメディアが「Apple Walletに追加」と表現するため、「設定 > ウォレットとApple Pay」から登録すると思われがちです。しかし、実際の登録プロセスはマイナポータルアプリが起点となります。
正しい登録手順
ステップ1:事前準備
- iOS 18.5以降にアップデート
- マイナポータルアプリをApp Storeからダウンロード
- 物理的なマイナンバーカードと4桁暗証番号を準備
- Face ID/Touch IDを有効にしておく
ステップ2:マイナポータルアプリからの登録
- マイナポータルアプリを起動
- 「スマホ用電子証明書の発行・更新」を選択
- 利用規約に同意後、「発行する」をタップ
- 物理カードをiPhone背面にかざして読み取り
- 4桁の暗証番号に加えて英数字の署名用パスワードの入力と、顔の動きによる本人確認(セルフィー撮影)を行い、最後に『Appleウォレットに追加』します。
- Face ID/Touch IDで生体認証を実行
ステップ3:自動的にWalletに登録完了
- 登録が完了すると、自動的にApple Walletに表示される
- この時点で初めてWalletアプリで確認可能になる
Apple Walletは「表示場所」に過ぎない
重要なのは、Apple Walletは登録の起点ではなく、結果の表示場所だということです。マイナポータルアプリで登録した電子証明書が、利便性のためにWalletにも表示されているに過ぎません。
実際の利用方法と注意点

コンビニでの証明書取得
正しい手順
- コンビニのマルチコピー機で「行政サービス」を選択
- 「マイナンバーカード」を選択
- Apple Walletを起動し、マイナンバーカードを選択
- Face ID/Touch IDで認証
- iPhoneを読み取り部にかざす
- 必要な証明書を選択して取得
取得可能な証明書
- 住民票の写し
- 印鑑登録証明書
- 各種税証明書(所得・課税証明書等)
- 戸籍証明書(本籍地のコンビニのみ)
マイナポータルでのログイン
手順
- マイナポータルアプリまたはWebサイトでログインを選択
- 「スマホ用電子証明書でログイン」を選択
- Face ID/Touch IDで認証(物理カードは不要)
- 自動的にログイン完了
利用できる主なサービス
- 各種申請・届出の電子手続き
- 給付金申請状況の確認
- 健康保険証利用の登録・確認
- 口座情報の登録・変更
- 子育て・介護関連手続き
よくあるトラブルと解決法

登録時のエラー対策
「読み取りできません」エラー
- iPhoneケース・カバーを完全に外す
- マイナンバーカードをiPhone背面中央に密着
- 金属製アクセサリーから離れた場所で実行
- iOSを最新化し、端末再起動・ケース取り外し・カード密着位置の調整を試してください。エラーコード別の対処はマイナポータルFAQを参照。
「認証に失敗しました」エラー
- 4桁暗証番号(利用者証明用)を正確に入力
- 電子証明書の有効期限を確認(発行から5年)
- マイナポータルアプリを最新版にアップデート
「対応していない機種です」エラー
- iOS 18.5以降か確認
- iPhone XS/XR以前の場合は物理的に非対応
- iPhone SEは非対応(第2世代・第3世代は対応)
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利用時のトラブル
「電子証明書が見つかりません」
- マイナポータルアプリで再度認証を試行
- Apple Walletでマイナンバーカードが表示されているか確認
- 証明書の有効期限切れの可能性
バッテリー切れ対策
- 重要な手続き前は必ず充電を確認
- モバイルバッテリーを携帯
- 物理カードも念のため持参
セキュリティ対策と安全な利用方法

高度な保護機能
セキュアエンクレーブによる保護
- 電子証明書はiPhone内の独立したセキュリティ領域に格納
- iOS本体からも完全に分離された保護環境
- 物理的攻撃からも情報を守る構造
多層認証システム
- 生体認証(Face ID/Touch ID)による本人確認
- デバイス固有の暗号化キー
- Apple IDとの連携による二重保護
- 4桁暗証番号による追加認証
万が一の紛失・盗難対策
即座に実行すべき対応
- 「探す」アプリで端末をロック
- 他のAppleデバイスまたはiCloud.comから実行
- 「紛失モード」で画面ロックと位置追跡を開始
- マイナポータルで電子証明書を停止
- PCまたは他の端末からマイナポータルにアクセス
- 「スマホ用電子証明書の停止」手続きを実行
- 24時間以内の手続きを推奨
- 必要に応じて完全初期化
- 「探す」アプリから「iPhoneを消去」を実行
- 全データが完全削除され第三者による悪用を防止
日常的なセキュリティ対策
基本設定の確認
- iOSを常に最新版に保つ(セキュリティパッチの適用)
- 強固なパスコード設定(6桁以上推奨)
- Face ID/Touch IDの適切な登録
- 「iPhoneを探す」機能の有効化
- Apple IDの二段階認証設定
利用時の注意事項
- 公共Wi-Fiでの重要手続きは避ける
- フィッシング詐欺サイトに注意
- 非公式アプリのダウンロード禁止
- 定期的なパスコード変更(3ヶ月に1回推奨)
- 不審なログイン通知は即座に確認
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今後の機能拡張予定

2025年7月中に追加予定
- 対面確認アプリでの本人確認:金融機関や携帯ショップでの利用
2025年9月以降(段階的導入)
- マイナ保険証機能:医療機関・薬局での健康保険証利用
2025年7月に実証を行い、2025年9月以降に希望医療機関から段階的に導入の方針です(参照:厚生労働省) - 金融機関での本人確認:口座開設・各種取引
- 携帯電話契約時の本人確認:新規契約・機種変更
- 中古品買取での本人確認:リサイクルショップ等
- 各種民間サービスでの本人確認:レンタル・会員登録等
将来的な構想(時期未定)
- 運転免許証のデジタル化
- パスポート情報の統合
- 各種資格証明書の電子化
- 国際的な身分証明書連携
よくある質問と回答
Q1. なぜiPhone SEは使えないの?
A1. iPhone SE(第2・第3世代は対応)はNFC Type Bという通信規格に対応していないためです。製造年が新しくても、この技術仕様の制約により利用できません。
Q2. Apple Walletに表示されないのですが?
A2. 登録はマイナポータルアプリから行ってください。Apple Walletの「IDカードを追加」からは正常に登録できません。マイナポータルで正常に登録されると、自動的にWalletにも表示されます。
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Q3. 物理カードは完全に不要になる?
A3. 初期登録には必ず物理カードが必要です。登録後も、システムメンテナンス時や一部の手続きでは物理カードが必要になる場合があるため、完全に不要にはなりません。
Q4. 機種変更時はどうすればいい?
A4. 新しいiPhoneで再度マイナポータルアプリから登録手続きを行ってください。古い端末の証明書は自動的に無効になるため、必ず新端末での再登録が必要です。
Q5. 家族分もまとめて登録できる?
A5. 1台のiPhoneにつき1人分のみ登録可能です(新端末へ追加すると旧端末では使えなくなります)。家族分は各自のiPhoneでそれぞれ登録してください。
Q6. 海外で使えますか?
A6. 現時点では日本国内の対応場所・対応サービスでの利用が前提です(コンビニ証明書発行やマイナポータル等)。
Q7. Android端末との違いは?
A7. Android端末では機種ごとに対応状況が異なり、専用アプリのインストールが必要です。iPhoneの方が統一された仕様で、設定も比較的簡単です。
まとめ:正しい情報で安全・便利に活用
この記事の重要ポイント
✅ 対応はiOS 18.5以上かつiPhone XS/XR以降(SE第2・第3世代含む)が目安。
✅ iPhone XS/XRでも利用可能:「iPhone 15以降」という情報は完全に間違い
✅ iPhone SE(第2・第3世代は対応):製造年に関係なくNFC規格の制約で利用不可
✅ 登録はマイナポータルアプリから:Apple Walletからの直接追加は不可能
✅ Walletは結果の表示場所:登録プロセスとは別の利便機能
✅ 高度なセキュリティ機能:セキュアエンクレーブと多層認証で保護
✅ 紛失時は即座に対応:「探す」アプリとマイナポータルでの停止手続き
巷に溢れる間違った情報に惑わされず、正しい知識で安全にiPhoneマイナンバーカード機能を活用してください。2018年発売の比較的古いiPhoneでも利用できることがお分かりいただけたでしょう。
ただし、便利さの裏にはセキュリティリスクも存在します。適切な設定と日常的な注意を怠らず、デジタル身分証時代を賢く生きていきましょう。
✍️ 記事の信頼性について 本記事は、デジタル庁公式発表、Apple公式技術仕様、および実際のサービス利用検証に基づいて作成しています。情報は2025年8月時点のものであり、今後のアップデートにより仕様が変更される可能性があります。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。