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【2025年8月版】iPhoneでマイナンバーカードは"もう使える"。ただし「対応は機種名じゃない」「追加はWalletからじゃない」

2025年5月6日

日本人女性がiPhoneを手にコンビニ端末の読み取り部へ近づけ、スマホ搭載のマイナンバーカード機能を使おうとしている場面
セキュア女子
セキュア女子

iPhone 15じゃないと使えないって聞いたけど…私の古いiPhoneは大丈夫?Walletから追加すればいいんでしょ?

2025年6月24日から、iPhoneでマイナンバーカードが利用可能になりました。

しかし「iPhone 15なら使える」「Walletから追加すればOK」といった情報は完全に間違いです。

多くのメディアが「対応機種はiPhone 15以降」「Apple Walletから登録」と報じていますが、実際には2018年発売のiPhone XSやXRでも利用可能で、登録はマイナポータルアプリから行うのが正しい方法です。

「え、私の古いiPhoneでも使えるの?」「Walletじゃないってどういうこと?」と驚かれる方も多いでしょう。

このページでは、巷に溢れる間違った情報を正し、本当の対応条件と正しい設定方法を詳しく解説していきます。

【2025年8月現在の真実】

  • 対応は機種名ではなく「2018年以降+NFC Type B対応」という技術仕様で決まる
  • 追加はApple Walletからではなく「マイナポータルアプリ」が起点
  • 結果的にWalletに表示されるが、登録プロセスは全く違う

なぜ「機種名」では判断できないのか

対応を決める本当の条件

多くのサイトが「iPhone 15以降対応」と書いていますが、これは完全な誤解です。実際の対応条件は以下の技術仕様で決まります:

真の対応条件

  1. NFC Type B対応(マイナンバーカードの通信規格)
  2. セキュアエンクレーブ搭載(iPhone 5s(2013年)以降)
  3. iOS 18.5以降対応
  4. 2018年以降の製造(政府とAppleの技術協定による)
    製造年の縛りは公式要件ではありません。iOSのバージョンと対応機種(XS/XR以降やSE第2・第3世代)が判断基準です。

つまり、iPhone XS/XR(2018年発売)以降なら基本的に利用可能ということです。

実際に使える・使えない機種の真実

古いホームボタン機と新しい全画面機を左から右へ並べ、赤から緑の背景グラデーションで非対応と対応の違いを示すアニメ風イラスト

✅ 利用可能(2018年以降製造)

  • iPhone XS, iPhone XS Max, iPhone XR(2018年)
  • iPhone 11シリーズ(2019年)
  • iPhone 12シリーズ(2020年)
  • iPhone 13シリーズ(2021年)
  • iPhone 14シリーズ(2022年)
  • iPhone 15シリーズ(2023年)

❌ 利用不可能

  • iPhone SE(第2世代・第3世代は対応しており、iPhone XS/XS Max、XR、11~16シリーズとあわせて利用可能です。)
  • iPhone X(対応はXS/XR以降)機種要件によるものです。)
  • iPhone 8以前 ← セキュアエンクレーブ・NFC仕様の問題

「Walletから追加」は間違い。正しい登録方法

日本人男性が自宅の机でスマホの登録画面を操作し、もう一方の手にIDカードを持つアニメ風イラスト。アプリから登録する場面

なぜ多くのサイトが間違えるのか

Apple公式や多くのメディアが「Apple Walletに追加」と表現するため、「設定 > ウォレットとApple Pay」から登録すると思われがちです。しかし、実際の登録プロセスはマイナポータルアプリが起点となります。

正しい登録手順

ステップ1:事前準備

  1. iOS 18.5以降にアップデート
  2. マイナポータルアプリをApp Storeからダウンロード
  3. 物理的なマイナンバーカードと4桁暗証番号を準備
  4. Face ID/Touch IDを有効にしておく

ステップ2:マイナポータルアプリからの登録

  1. マイナポータルアプリを起動
  2. 「スマホ用電子証明書の発行・更新」を選択
  3. 利用規約に同意後、「発行する」をタップ
  4. 物理カードをiPhone背面にかざして読み取り
  5. 4桁の暗証番号に加えて英数字の署名用パスワードの入力と、顔の動きによる本人確認(セルフィー撮影)を行い、最後に『Appleウォレットに追加』します。
  6. Face ID/Touch IDで生体認証を実行

ステップ3:自動的にWalletに登録完了

  • 登録が完了すると、自動的にApple Walletに表示される
  • この時点で初めてWalletアプリで確認可能になる

Apple Walletは「表示場所」に過ぎない

重要なのは、Apple Walletは登録の起点ではなく、結果の表示場所だということです。マイナポータルアプリで登録した電子証明書が、利便性のためにWalletにも表示されているに過ぎません。

実際の利用方法と注意点

コンビニ端末の前で日本人女性がスマホをかざし、証明書発行のNFC読取を行おうとしているアニメ風イラスト。店内棚が背景

コンビニでの証明書取得

正しい手順

  1. コンビニのマルチコピー機で「行政サービス」を選択
  2. 「マイナンバーカード」を選択
  3. Apple Walletを起動し、マイナンバーカードを選択
  4. Face ID/Touch IDで認証
  5. iPhoneを読み取り部にかざす
  6. 必要な証明書を選択して取得

取得可能な証明書

  • 住民票の写し
  • 印鑑登録証明書
  • 各種税証明書(所得・課税証明書等)
  • 戸籍証明書(本籍地のコンビニのみ)

マイナポータルでのログイン

手順

  1. マイナポータルアプリまたはWebサイトでログインを選択
  2. 「スマホ用電子証明書でログイン」を選択
  3. Face ID/Touch IDで認証(物理カードは不要)
  4. 自動的にログイン完了

利用できる主なサービス

  • 各種申請・届出の電子手続き
  • 給付金申請状況の確認
  • 健康保険証利用の登録・確認
  • 口座情報の登録・変更
  • 子育て・介護関連手続き

よくあるトラブルと解決法

オフィスの休憩スペースで日本人女性がスマホのエラー画面を示し、もう一方の手にカードを持って原因に困っているアニメ風イラスト

登録時のエラー対策

「読み取りできません」エラー

  • iPhoneケース・カバーを完全に外す
  • マイナンバーカードをiPhone背面中央に密着
  • 金属製アクセサリーから離れた場所で実行
  • iOSを最新化し、端末再起動・ケース取り外し・カード密着位置の調整を試してください。エラーコード別の対処はマイナポータルFAQを参照。

「認証に失敗しました」エラー

  • 4桁暗証番号(利用者証明用)を正確に入力
  • 電子証明書の有効期限を確認(発行から5年)
  • マイナポータルアプリを最新版にアップデート

「対応していない機種です」エラー

  • iOS 18.5以降か確認
  • iPhone XS/XR以前の場合は物理的に非対応
  • iPhone SEは非対応(第2世代・第3世代は対応)

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利用時のトラブル

「電子証明書が見つかりません」

  • マイナポータルアプリで再度認証を試行
  • Apple Walletでマイナンバーカードが表示されているか確認
  • 証明書の有効期限切れの可能性

バッテリー切れ対策

  • 重要な手続き前は必ず充電を確認
  • モバイルバッテリーを携帯
  • 物理カードも念のため持参

セキュリティ対策と安全な利用方法

室内で日本人男性がスマホの背面を持ち、横に青い盾のホログラムが浮かぶアニメ風イラスト。

高度な保護機能

セキュアエンクレーブによる保護

  • 電子証明書はiPhone内の独立したセキュリティ領域に格納
  • iOS本体からも完全に分離された保護環境
  • 物理的攻撃からも情報を守る構造

多層認証システム

  • 生体認証(Face ID/Touch ID)による本人確認
  • デバイス固有の暗号化キー
  • Apple IDとの連携による二重保護
  • 4桁暗証番号による追加認証

万が一の紛失・盗難対策

即座に実行すべき対応

  1. 「探す」アプリで端末をロック
    • 他のAppleデバイスまたはiCloud.comから実行
    • 「紛失モード」で画面ロックと位置追跡を開始
  2. マイナポータルで電子証明書を停止
    • PCまたは他の端末からマイナポータルにアクセス
    • 「スマホ用電子証明書の停止」手続きを実行
    • 24時間以内の手続きを推奨
  3. 必要に応じて完全初期化
    • 「探す」アプリから「iPhoneを消去」を実行
    • 全データが完全削除され第三者による悪用を防止

日常的なセキュリティ対策

基本設定の確認

  • iOSを常に最新版に保つ(セキュリティパッチの適用)
  • 強固なパスコード設定(6桁以上推奨)
  • Face ID/Touch IDの適切な登録
  • 「iPhoneを探す」機能の有効化
  • Apple IDの二段階認証設定

利用時の注意事項

  • 公共Wi-Fiでの重要手続きは避ける
  • フィッシング詐欺サイトに注意
  • 非公式アプリのダウンロード禁止
  • 定期的なパスコード変更(3ヶ月に1回推奨)
  • 不審なログイン通知は即座に確認

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今後の機能拡張予定

スマートフォンの周囲に医療、銀行、SIM、本人確認、買い物、盾などの汎用アイコンが浮かび、今後の機能拡張を示すアニメ風イラスト

2025年7月中に追加予定

  • 対面確認アプリでの本人確認:金融機関や携帯ショップでの利用

2025年9月以降(段階的導入)

  • マイナ保険証機能:医療機関・薬局での健康保険証利用
    2025年7月に実証を行い、2025年9月以降に希望医療機関から段階的に導入の方針です(参照:厚生労働省
  • 金融機関での本人確認:口座開設・各種取引
  • 携帯電話契約時の本人確認:新規契約・機種変更
  • 中古品買取での本人確認:リサイクルショップ等
  • 各種民間サービスでの本人確認:レンタル・会員登録等

将来的な構想(時期未定)

  • 運転免許証のデジタル化
  • パスポート情報の統合
  • 各種資格証明書の電子化
  • 国際的な身分証明書連携

よくある質問と回答

Q1. なぜiPhone SEは使えないの?

A1. iPhone SE(第2・第3世代は対応)はNFC Type Bという通信規格に対応していないためです。製造年が新しくても、この技術仕様の制約により利用できません。

Q2. Apple Walletに表示されないのですが?

A2. 登録はマイナポータルアプリから行ってください。Apple Walletの「IDカードを追加」からは正常に登録できません。マイナポータルで正常に登録されると、自動的にWalletにも表示されます。

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Q3. 物理カードは完全に不要になる?

A3. 初期登録には必ず物理カードが必要です。登録後も、システムメンテナンス時や一部の手続きでは物理カードが必要になる場合があるため、完全に不要にはなりません。

Q4. 機種変更時はどうすればいい?

A4. 新しいiPhoneで再度マイナポータルアプリから登録手続きを行ってください。古い端末の証明書は自動的に無効になるため、必ず新端末での再登録が必要です。

Q5. 家族分もまとめて登録できる?

A5. 1台のiPhoneにつき1人分のみ登録可能です(新端末へ追加すると旧端末では使えなくなります)。家族分は各自のiPhoneでそれぞれ登録してください。

Q6. 海外で使えますか?

A6. 現時点では日本国内の対応場所・対応サービスでの利用が前提です(コンビニ証明書発行やマイナポータル等)。

Q7. Android端末との違いは?

A7. Android端末では機種ごとに対応状況が異なり、専用アプリのインストールが必要です。iPhoneの方が統一された仕様で、設定も比較的簡単です。

まとめ:正しい情報で安全・便利に活用

この記事の重要ポイント

✅ 対応はiOS 18.5以上かつiPhone XS/XR以降(SE第2・第3世代含む)が目安。
iPhone XS/XRでも利用可能:「iPhone 15以降」という情報は完全に間違い
iPhone SE(第2・第3世代は対応):製造年に関係なくNFC規格の制約で利用不可
登録はマイナポータルアプリから:Apple Walletからの直接追加は不可能
Walletは結果の表示場所:登録プロセスとは別の利便機能
高度なセキュリティ機能:セキュアエンクレーブと多層認証で保護
紛失時は即座に対応:「探す」アプリとマイナポータルでの停止手続き

巷に溢れる間違った情報に惑わされず、正しい知識で安全にiPhoneマイナンバーカード機能を活用してください。2018年発売の比較的古いiPhoneでも利用できることがお分かりいただけたでしょう。

ただし、便利さの裏にはセキュリティリスクも存在します。適切な設定と日常的な注意を怠らず、デジタル身分証時代を賢く生きていきましょう。


✍️ 記事の信頼性について 本記事は、デジタル庁公式発表、Apple公式技術仕様、および実際のサービス利用検証に基づいて作成しています。情報は2025年8月時点のものであり、今後のアップデートにより仕様が変更される可能性があります。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

  • この記事を書いた人

しろ

官公庁の情報政策部門に勤務し、公共の情報システムやセキュリティ対策の実務に携わっています。幅広いIT経験と国家試験合格の知識を活かし、実務に根ざしたセキュリティ情報を発信しています☺️

情報処理安全確保支援士 合格済み バッジ

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