推しのXやYouTubeの新着を1つにまとめてくれる「推シラセ(推しらせ)」。10月14日に出たばかりなのに、App Storeのライフスタイル部門で1位になっていました(11月3日時点)。
入れる前にApp Storeのページを開くと、「トラッキングに使用されるデータ」という欄があります。ここで手が止まった方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、公開されている資料から危ないアプリだと言える材料は見当たりませんでした。ただ、App Storeの表示と運営のプライバシーポリシーとで、書いてあることが食い違っています。この記事では、その食い違いの読み方と、入れる前に知っておきたい点を整理します。
まもる
しろ- 推シラセの運営元と、11月3日時点での安全性の見立て
- App Storeの「トラッキング」表示と、プライバシーポリシーの食い違い
- トラッキングの許可を聞かれたときの選び方
- Xのパスワードを渡す場面がない理由
- 無料でできる範囲と、課金・締切の注意点
- Androidで使えるか、機種変更とデータの消し方
推シラセの危険性は、11月3日時点で見当たらない
11月3日に調べた範囲では、不正請求や情報流出といった被害の報道は見つかりませんでした。被害がないことの証明ではありませんが、運営元も名前の分からない海外業者ではありません。
販売元はappful株式会社です。10代向けのアプリを作っている会社です(PR TIMES「株式会社appful」)。LINEのトーク相性を診断する「めろとーく(メロトーク)」も、App Storeで同じ販売元と開発者になっています。
メロトークの安全性は、以前に別の記事でまとめました。

| 項目 | 内容(11月3日時点) |
|---|---|
| 販売元 | appful Inc.(デベロッパ表示は個人名) |
| 公開 | 2026年10月14日(バージョン1.0)。3週間で4回更新 |
| 対応 | iPhone向け(iOS 18.0以降)。説明文に「iPhoneのみ対応」 |
| 年齢区分 | 4+ |
| 連絡先 | アプリの問い合わせはメール。所在地は会社サイトに掲載 |
互換性の欄にはMacとApple Visionも並びますが、説明文は「iPhoneのみ対応」です。規約とポリシーに住所はありませんが、会社サイトの会社概要には所在地が載っています(株式会社appful)。
App Storeの「トラッキング」表示と、規約が食い違っている
App Storeのプライバシー欄では、「ID」と「使用状況データ」がトラッキングに使われると表示されています。一方、運営のプライバシーポリシーは、追跡しないと書いています。
| 項目 | App Storeの表示 | プライバシーポリシー |
|---|---|---|
| トラッキング | 「ID」「使用状況データ」をトラッキングに使用 | 「他社のアプリやウェブサイトをまたいだ追跡はしません。」 |
| 広告 | サードパーティ広告にデバイスIDを使用 | 「広告は、あなた個人に合わせない形で表示します。」 |
| 広告ID(IDFA) | 記載なし | 「広告の ID(IDFA)は使わず、広告に合わせるための使い方はしません。」 |
どちらが実態に近いのか、外からは判定できません。広告の仕組み(GoogleのAdMob)を組み込んでいることは、ポリシーにも書かれています。
App Storeの表示は開発者の申告で、ページにも「この情報はAppleによって検証されていません」とあります。食い違いの理由は、運営に説明してほしいところです。
推シラセのポリシーで目を引くのは、推しの名前や写真の扱いです。名前・メモ・写真は端末の中だけに置き、サーバーには推しの名前を送らない、と書かれています。
ただし、サーバーへは次のものを送るとしています。
| サーバーへ送るもの | ポリシーの説明 |
|---|---|
| 公式アカウント | 「推しは ID だけを送り、名前は送りません」 |
| 検索語 | 「候補を探すときに入力した言葉」 |
| URLで足したアカウント | 「運営者が確かめるため」にURLを送る |
推しの名前で候補を探せば、その言葉は送られます。公式アカウントのIDから、誰を登録したかが推測できる場合もあるでしょう。「名前を送らない」と「誰を推しているか運営にも分からない」は、別の話だと考えています。
トラッキングの許可は「しないように要求」で困らない
アプリからトラッキングの許可を聞かれたら、「Appにトラッキングしないように要求」を選んで問題ないと筆者は考えています。理由は2つです。
1つ目は、Appleがそう説明しているからです。サポートページには、次のように書かれています(Apple サポート)。
「アプリによるアクティビティの追跡を許可したかどうかにかかわらず、そのアプリの機能はすべて支障なく使えます。」
2つ目は、推シラセ自身が広告IDを使わないと書いているからです。拒否して失うものは、ポリシーどおりなら何もありません。
推シラセで許可の画面が出るかは、確認できていません。後からは、iPhoneの「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「トラッキング」で確かめられます。
Xのパスワードを渡す場面はない作り
推シラセは、あなたのXにログインして新着を読む仕組みではありません。ポリシーには、こう書かれています。
「公式アカウントの新着は、X・YouTube などが公開している情報を運営者のサーバーが取得します。利用者の情報をこれらのサービスに送ることはありません。」
つまり、XのIDやパスワードを推シラセに入れる必要はないはずです。もし「推シラセ」を名乗ってXのログインを求められたら、偽物を疑ってください。
まもる
しろXと同じパスワードを別のサービスに入れる危うさは、こちらに書きました。

無料でできる範囲と、課金の注意点
無料のままでも使えます。ただし登録できる推しは2人までです(App Store の説明文)。
| プラン | 料金 | 推しの数 | 新着の届き方 | 広告 |
|---|---|---|---|---|
| 無料 | 0円 | 2人(広告を最後まで見ると3人目を7日間) | 朝と夜の1日2回 | あり |
| プラス | 月300円/年2,400円 | 5人 | 朝と夜の1日2回 | なし |
| プレミアム | 月600円/年4,800円 | 何人でも | 15分ごと、投稿ごとに通知 | なし |
料金は10月末のバージョン1.3で下がった後のものです。有料プランは自動更新で、期間が終わる24時間前までに解約しないと更新されます。解約はiPhoneの「設定」→自分の名前→「サブスクリプション」からです。
規約では、返金は「Apple の決まりに従います」としています。運営が直接返金することはできないため、返金を希望するならAppleの手続きで申し込むことになります。
ここが落とし穴
チケットの締切は、元の投稿で確かめる
規約には「まとめの内容や締切の日時は、正確さを保証しません」とあります。無料プランだと新着は1日2回です。急な受付開始は、通知が来る前に終わっているかもしれません。
URLで足したアカウントは「未確認」
候補にない推しはURLで追加できますが、規約上は「未確認」の扱いです。なりすましでないかは、自分で確かめましょう。
Android版は確認できなかった(11月3日時点)
App Storeの説明文には「iPhoneのみ対応」とあります。Google Playで「推シラセ」を検索した範囲では、同じ運営のアプリは見つかりませんでした。
似た名前の推し活アプリを見つけたら、販売元がappfulか確かめてください。
機種変更では自動で引き継がれない
推しの名前や写真は端末の中に置く作りなので、新しいiPhoneへは自動で移りません。
サポートページは、設定の「データを書き出す」で保存したzipを、新しいiPhoneで読み込む方法を案内しています。やめるときは、設定の「すべてのデータを削除」で端末とサーバーのデータをまとめて消せるとしています(推シラセ サポート)。
未成年は保護者の同意が前提
規約には「未成年の方は、保護者の同意を得てから使ってください」とあります。ポリシーでは、12歳以下の方には広告を表示せず、使い方の記録も集めないとしています。
【現役SEの視点】表示は「申告」、規約は「方針」。そろって初めて信用できる
正直に書くと、筆者も普段はApp Storeのプライバシー欄を見ていませんでした。今回はじめて、表示と規約を並べて読みました。
読んでみて感じたのは、2つは書き手の立場が違うということです。App Storeの表示は、組み込んだ外部サービスの分まで開発者が申告するものです(Apple Developer)。規約は、運営が自分の言葉で公表している方針です。
同じ運営が書いた2つが、トラッキングという肝心な点でそろっていない。意外と、ここが一番引っかかりました。表示だけを見て「危ない」と決めるのも、規約だけを見て「安心」と決めるのも早いと思います。
入れる前に見る場所は、次の3つで足りると考えています。
| 見る場所 | 確かめること | 推シラセの場合 |
|---|---|---|
| App Storeのプライバシー欄 | トラッキングに使うデータがあるか | あり(ID・使用状況データ) |
| プライバシーポリシー | 表示と同じことが書いてあるか | 食い違う(追跡しないと書いている) |
| 販売元と連絡先 | 会社名と問い合わせ先があるか | 会社名あり。問い合わせはメール、所在地は会社サイト |
しろまとめ
- 推シラセは、メロトークと同じappfulのアプリ。11月3日に調べた範囲で被害の報道は見つからなかった
- App Storeは「トラッキングに使用」と表示し、ポリシーは「追跡しません」と書いている。どちらが実態に近いかは外から判定できない
- 推しの名前や写真は端末の中。ただし公式アカウントのIDや検索語はサーバーに送られる
- トラッキングの許可は「しないように要求」を選んでも、Appleの説明では機能は変わらない
- 新着は運営のサーバーが公開情報を集める作りで、Xのパスワードを入れる場面はないはず
- 無料は推し2人・1日2回。締切は元の投稿で確かめ、有料プランは更新の24時間前までに解約する
- iPhone向けで、Android版は確認できなかった。機種変更は書き出しで移し、やめるときは「すべてのデータを削除」を使う
引っかかった点
- App Storeの表示とポリシーの食い違いの理由は、どちらの資料にも書かれていませんでした
- 推シラセを入れたときに、トラッキング許可の画面が出るかは確かめていません。実機には入れず、公開されている情報だけで書いています
- ポリシーには、データを海外のサーバーで扱うかどうかの記載が見当たりませんでした。保存と通知にGoogleのFirebaseを使うとは書かれています
