情報処理安全確保支援士 講習不要の条件|2026年4月新設の免除制度と、未登録という選択肢

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情報処理安全確保支援士の講習不要の条件を解説する記事のアイキャッチ。2026年4月創設の実務経験者に対する講習制度により、実践講習8万円が免除される点を示している。

「合格はしたけれど、あの講習費用を払い続ける気にはなれない」

支援士の話題になると、必ずこの声を聞きます。筆者もそのひとりで、合格から時間が経った今も登録していません。

ただ、2026年4月に制度が変わりました。所定の実務経験があれば、いちばん高い講習が免除されます。

「講習不要」という言葉には、実は2つの意味があります。この記事では、その2つを分けて整理します。そのうえで、自分の今の仕事で免除に届くのかを、正直に考察してみました。

この記事でわかること
  • 「講習不要」が指す2つの状態と、その違い
  • 未登録のままでいる場合に、失うものと失わないもの
  • 登録した場合に発生する講習の回数と、3年間の実費
  • 2026年4月に創設された「実務経験者に対する講習制度」の中身
  • 免除の対象になる実務と、認定基準
  • 現役の自治体SEである筆者が、免除に届くかどうかの自己判定
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官公庁のセキュリティ実務10年以上 / 情報処理安全確保支援士試験 合格

日常に潜む「ネットの怖さや詐欺」を見抜く方法を、元プログラマー・SEの知見を活かして専門用語なしでやさしく解説します。

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音声で聴きたい方向けに、記事末尾に解説動画を置いています。


目次

「講習不要」には、性質のまったく違う2つの意味がある

結論から書きます。検索されている「講習不要」には、次の2つが混ざっています。

ひとつは、登録しないという選択です。講習の義務は登録した人にだけ発生します。未登録なら、そもそも受ける必要がありません。

もうひとつが、2026年4月に始まった実務経験者向けの免除制度です。こちらは登録したうえで、費用の重い実践講習を受けずに済ませる仕組みになります。

情報処理安全確保支援士の「講習不要」が2つに分かれることを示す分岐図。未登録のままなら講習義務なしで費用0円だが名称は使えず、登録して免除認定を受ければオンライン講習のみで3年6万3,500円となる。
状態講習の義務3年間の講習費用名称の使用
未登録(試験合格のみ)なし0円不可
登録・通常オンライン講習3回+実践講習1回14万円
登録・実務経験者として認定オンライン講習3回のみ6万3,500円

同じ「講習不要」でも、行き着く場所はまるで違います。前者は資格の名称を手放す判断で、後者は名称を持ったまま負担だけを軽くする話です。

まもる
講習が要らないなら登録したいけど、どっちの話なんだろう。
りん
そこを混ぜたまま調べると、必ず迷子になります。順番に見ていきましょう。

未登録のままなら、講習の義務は発生しない

支援士の講習義務は、登録した人に課されます。試験に合格しただけの段階では、何も発生しません。

ここで多くの人が心配するのが、合格の期限です。結論として、その心配は不要でした。

IPAは「登録の期限はありません」と明記しています。加えて「登録しないことにより試験合格が無効になることはありません」とも書かれています。つまり合格の資格は、何年寝かせても消えません。

筆者も、この一文を確認してから気持ちが軽くなりました。急いで登録する理由が、少なくとも制度上はないと分かったからです。

失うのは「情報処理安全確保支援士」という名称そのもの

一方で、失うものもはっきりしています。登録しない限り、支援士を名乗ることはできません。

これは名称独占資格の宿命です。未登録で名乗った場合、法令違反となり罰則の対象になります。名刺やプロフィールに書くときは、この線引きを外せません。

では未登録者は何も書けないのかというと、そうではありません。試験に合格した事実は残るので、経歴として記載できます。

書き方の違いを整理しました。

表記未登録での可否備考
情報処理安全確保支援士不可登録者のみ。違反時は罰則の対象
登録セキスペ不可登録者を指す通称のため同様
情報処理安全確保支援士試験 合格試験の合格実績としての記載

入札の要件で問われるのは、たいてい登録済みかどうかです。では、その「登録者であること」を求める動きは、これからどこまで広がるのか。必置化の議論を別記事で追いました。

正直、この差は思っていたより小さくありません。入札の要件や求人票で問われるのは、たいてい登録済みかどうかだからです。

一方で、技術者としての実力を示す場面では、合格の事実だけで通ることも多い。どちらを重く見るかは、その人が立っている場所によって変わります。

登録すると、3年で約14万円の講習費が発生する

登録した場合に何が起きるかを、先に金額で示します。この数字を知らずに登録すると、後から効いてきます。

義務づけられているのは、次の2種類です。

オンライン講習は1年に1回。受講料は20,000円(非課税)です。3年で3回、計6万円になります。

実践講習は3年に1回。IPAが実施する実践講習A・B・Cは80,000円(非課税)で、標準学習時間は9〜10時間です。個人学習を挟んだうえで、Web会議システムを使ったグループ討議を行う形式になっています。なお、演習型の講習には受講料160,000円のものもあります。

つまり3年サイクルの合計は、6万円+8万円で14万円。これに初回の登録費用が加わります。

項目金額頻度
登録免許税9,000円新規登録時のみ
登録手数料10,700円新規登録時のみ
オンライン講習20,000円(非課税)1年に1回
実践講習(IPA実施)80,000円(非課税)3年に1回

これらは更新の条件です。直近の登録日または更新日から更新期限の60日前までに、オンライン講習3回と実践講習1回をすべて修了している必要があります。

受講しなかった場合の扱いも決まっています。IPAは「資格名称の使用の停止」または「登録の取消し」の処分が命じられる場合があると説明しています。

自己負担で続けるなら、3年ごとに14万円。会社が出してくれるかどうかで、この資格の重さは完全に変わります。

では、その14万円に見合うものが返ってくるのか。費用と年収を並べて考えたい方は、こちらもどうぞ。

2026年4月、実務経験者向けの免除制度が創設された

ここからが本題です。2026年3月27日、経済産業省が新しい講習制度の創設を発表しました。

名称は「実務経験者に対する講習制度」。所定の実務経験があると認められた登録セキスペは、受講する講習がオンライン講習のみになります。

制度の考え方は明快です。セキュリティの運用管理やインシデント対応を日々やっている人は、実践講習と同等以上の知識と技能をすでに持っている。ならば座学の演習を重ねて課すより、実務そのものを評価しようという発想になります。

筆者は、この方向は理にかなっていると考えています。現場で毎日アラートを見ている人に、演習形式で8万円を払わせる構図には、以前から違和感がありました。

対象になる実務は3つの区分に分かれる

免除の対象となる実務は、次の3区分です。

区分具体的業務の例認定基準評価者
ITSS+(セキュリティ領域)のうちセキュリティ系セキュリティ経営、セキュリティ監査、システム監査、セキュリティ統括、脆弱性診断・ペネトレーションテスト、セキュリティ監視・運用、セキュリティ調査分析・研究開発従事期間6か月以上法人所属は企業内の上長/個人業務は顧客
ITSS+(セキュリティ領域)のうちデジタル系デジタル経営、デジタルシステムストラテジー、デジタルシステムアーキテクチャ、デジタルプロダクト開発、デジタルプロダクト運用従事期間1年以上同上
中小企業へのマネジメント指導情報セキュリティ規程の整備、情報資産の洗い出しとリスク分析、クラウドサービスの安全利用、インシデント対応、従業員向け教育支援業務3件以上顧客(支援先等)

このほか、実践講習の講師として2回以上登壇した場合も対象になります。

注目したいのは、セキュリティ系の認定基準が6か月以上という点です。デジタル系の1年以上と比べて、半分の期間で足ります。業務の中心がセキュリティかどうかで、ハードルが変わる設計になっています。

申請には3つの条件がそろう必要がある

要件は、大きく次の3つです。

第一に、対象業務について認定基準以上の実務経験を積み、評価者からの証明を受けること。第二に、登録または更新を受けた日から2年を経過していること。第三に、IPAに申請して認定を受けることです。

そして見落としやすいのが、実務経験を積む期間の指定です。登録日または更新日から起算して2年3か月以内の経験が対象になります。

申請手数料は1回あたり3,500円(非課税)。受付は更新日の1年前から始まり、制度としての受付開始は2026年4月1日でした。

免除が認められた場合、3年間の費用は次のように変わります。

通常実務経験者として認定
オンライン講習60,000円60,000円
実践講習80,000円0円
認定申請手数料3,500円
3年合計140,000円63,500円

差額は76,500円。3年でこの額が浮くなら、申請の手間をかける価値はあると思います。

しろ
8万円が消えるのは大きいです。ただ、名前のとおり「実務経験者」向けなので、条件の読み込みは丁寧にいきましょう。

この制度には、見落とすと痛い注意点がある

いい話ばかりではありません。実際に使うことを想定すると、引っかかる点がいくつも出てきます。

「講習不要」にはならず、オンライン講習は残る

まず前提の確認です。免除されるのは実践講習だけで、オンライン講習は年1回のまま残ります。

3年で6万円は変わらず発生します。「講習が要らなくなった」という表現を見かけたら、そこは正確ではありません。

未登録期間の実務経験は、おそらくカウントされない

筆者にとって、ここがいちばん重い制約でした。

対象となる実務経験は、登録日または更新日を起点とする期間のものです。登録していない期間に積んだ経験は、そのままでは使えません。

つまり「20年やってきたから初回更新で免除」という筋書きは、この制度では成立しない可能性が高い。まず登録し、登録後の実務で条件を満たし、初回更新のタイミングで申請する。そういう順番になります。

情報処理安全確保支援士の登録日を起点とした時間軸の図。実務経験の対象期間は2年3か月、申請受付は2年経過後、講習修了の締切は更新期限の60日前であることを1本のタイムラインで示している。

言い換えると、初回の3年は覚悟が要ります。免除が効き始めるのは、最短でも登録から2年後の申請以降です。

評価者を確保できるかどうかが、実は最大の関門

制度が求めるのは、自己申告ではなく評価者からの証明です。法人に所属していれば企業内の上長、個人で業務を請けていれば顧客が評価者になります。

これは、思っているより難しい人がいるはずです。所属と実際の作業場所が違う働き方をしていると、誰が証明できるのかが一気に曖昧になります。

認定されなかった場合の時間切れリスク

申請して認定されなければ、実践講習を受けるしかありません。実践講習は日程が限られており、直前に空きがあるとは限らない。

更新期限の60日前までに修了が必要である以上、申請の結果を待ってから慌てるのは危険です。認定されない前提のスケジュールも、頭の片隅に置いておく必要があります。

制度が始まったばかりで、運用の実態が読めない

2026年4月に始まった制度です。どの程度の証明資料が求められるのか、どういう業務内容だと認定されにくいのか。判断の相場観は、まだ世の中に出ていません。

最初の数年は、情報が出そろうのを待ちながら進むことになりそうです。

現役の自治体SEとして、自分は免除に届くのか

ここからは筆者自身の考察です。ある自治体の情報システム部門に常駐し、20年以上インフラ運用に関わってきました。立場は派遣で、雇用関係があるのは派遣元の会社になります。

この条件で免除に届くのかを、正直に検討してみます。

業務内容は「セキュリティ監視・運用」に寄せられそう

現在の業務のうち、制度の区分に当てはめられそうなのは2つあります。

ひとつは、監視系のアラートに対する確認と一次対応です。検知内容を見て、影響範囲を切り分け、関係部署へ報告する流れが日常的にあります。

もうひとつが、アカウントと権限の管理、それにセキュリティ設定の維持と点検です。IDの棚卸し、特権の扱い、設定値の確認といった作業がここに入ります。

いずれも、ITSS+(セキュリティ領域)でいう「セキュリティ監視・運用」に寄せて説明できる内容だと考えています。この区分の認定基準は従事期間6か月以上なので、期間そのものは問題になりません。

ただし、そう単純にいかない懸念もあります。運用担当の仕事は幅が広く、セキュリティ以外の作業も同じ時間の中に混ざっています。「6か月間これに従事した」と切り出せる形で書けるかどうかは、書類の作り方次第でしょう。

評価者は派遣元の上長になる

証明を頼む相手は、雇用関係のある派遣元の上長になります。制度がいう「企業内の上長」に、素直に当てはまる形です。

ここで気になるのが、実際の作業を直接見ているのは常駐先だという点です。派遣元の上長は、日々の作業内容を報告と月次の記録で把握しています。

この構図で証明が成り立つのかどうか、現時点では判断がつきません。おそらく、日報や作業報告といった手元の記録をどれだけ整理できているかが効いてきます。

派遣や常駐の形で働いている人にとっては、ここが共通の論点になりそうです。制度の説明を読む限り、想定されているのは自社内で完結する働き方に見えます。

自己判定の結果

現時点での見立てを表にしました。

要件現状の見立て残る課題
対象業務に該当するかセキュリティ監視・運用として説明できそう他業務と混在する時間の切り出し方
従事期間6か月以上期間としては満たせる見込み登録後の期間として積み直す必要
評価者からの証明派遣元の上長に依頼できる常駐先の実務をどう記録として残すか
登録から2年経過未登録のため未達登録の時期そのものが起点になる

結論として、業務内容の面では届く可能性があると考えています。ただし、それは登録してから2年以上先の話です。

免除制度は、未登録の人間にとって「今すぐ効く割引」ではありません。登録後の設計図として読むのが正しい距離感だと思います。

まもる
じゃあ結局、登録したほうがいいってこと?
りん
そこは人によって答えが変わります。判断材料を並べておきましょう。

登録するか、未登録のままか

両方の立場に、それぞれ理屈があります。

登録が向いているのは、費用を会社が負担してくれる人です。3年で14万円、免除が通れば6万3,500円。この差額を自分で払うかどうかで、判断はほぼ決まります。

入札や案件の要件として登録者であることを求められる人も、迷う余地は小さいでしょう。名刺に書ける資格として機能する場面が、実際に存在するからです。

一方、未登録という選択にも合理性があります。合格に期限がない以上、必要になった時点で登録すればいい。転職や独立の予定がなく、勤め先が費用を出さないなら、待つ判断は十分に理にかなっています。

状況向いている選択理由
会社が講習費を負担する登録費用の論点が消え、更新の手間だけが残る
入札要件や案件で登録者を求められる登録未登録では名称を使えず、要件を満たせない
セキュリティ実務に日常的に従事している登録を検討免除制度の対象に届く見込みがある
自己負担で、当面その資格を使う場面がない未登録も可登録に期限がなく、合格も失効しない

筆者の現在地も書いておきます。まだ登録していません。ただ、副業として監査やコンサルの実績を積みたいと考えている以上、いずれ名称が必要になる場面は来ます。

その時期を、免除制度の起算日から逆算して決めるつもりです。登録した瞬間から2年3か月の時計が動き出すなら、動き出す前に業務の記録の残し方を整えておきたい。そこが今の課題だと考えています。

まとめ

  • 「講習不要」には、未登録という状態と、実践講習の免除という2つの意味がある
  • 講習義務は登録者にだけ発生する。未登録なら費用はかからない
  • 登録に期限はなく、登録しないことで試験合格が無効になることもない
  • ただし未登録では名称を使えず、使えば罰則の対象になる
  • 登録後の講習費用は3年で14万円(オンライン講習6万円+実践講習8万円)
  • 2026年4月、実務経験者に対する講習制度が創設され、実践講習が免除される道ができた
  • 対象はセキュリティ監視・運用などで、認定基準は従事期間6か月以上
  • 免除が通れば3年で6万3,500円。差額は76,500円
  • 免除されるのは実践講習だけで、オンライン講習は残る
  • 対象となる実務経験は登録日または更新日を起点とするため、未登録期間の経験は使えない可能性が高い
  • 評価者からの証明が必要で、働き方によってはここが最大の関門になる

制度は、実務をやっている人に有利な方向へ動きました。ただ、その恩恵を受けるには、まず登録して時計を進める必要があります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

引っかかった点

「実務経験があれば講習不要」という要約が、あちこちで流れています。実際に一次情報を読むと、免除されるのは実践講習だけで、しかも登録後の経験が対象でした。この2つを落とすと、まったく違う話になります。

もうひとつ。派遣や常駐という働き方を、この制度がどう扱うのか。評価者の定義を読んでも判断がつきませんでした。ここは登録を決めた段階で、IPAに直接確認するつもりです。

参考にした一次資料

金額や制度の条件は、記憶で書かず公表資料に当たっています。確認に使ったものを挙げておきます。

制度は2026年4月に始まったばかりです。申請の運用や案内は今後変わる可能性があるため、実際に申請する際はIPAの最新の案内を確認してください。

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