「NIKKEの公式の手順は終えたけれど、PCまで初期化するべきなの?」と迷っている方も多いと思います。初期化は手間が大きいので、できれば避けたいですよね。
結論から言うと、公式の手順の案内に「初期化」という言葉は出てきません。やるかどうかは利用者の判断です。筆者の線引きは2つ。公式の検査で検出された人と、ログに指定の文字列があった人には、初期化をすすめます。検出されなかった人は、そのPCに何が入っているかで決めます。
この記事は、2026年11月6日夜時点の公式の案内と、外部の解析をもとにしています。
まもる
しろ- NIKKEの公式の案内が求めていること、書いていないこと
- 検査で何も出なくても、安心しきれない理由
- PCを初期化するかの線引き
- 初期化するときの順番と、持ち出さないもの
- ノートンやESETの検知報告の読み方
- 非公式のチェックツールと、仕事のアカウントの注意点
NIKKEのマルウェア、公式が求めていること
手順の細部は公式の2本が確かなので、ここでは全体だけ押さえます。
対象は、9月27日15時41分以降にWindows版のPCランチャーを一度でも起動した人です。スマホ版だけの人は、確認は不要とされています(公式:手動確認の案内)。
| 公式が求めること | 中身 |
|---|---|
| 公式クライアントで検査 | Chromeなどのブラウザを全部閉じてから、最新のPCクライアントを起動する。検出されるとポップアップが出て、同意すると削除される |
| 手動で確認(別の方法) | ネットワークを切り、ゲーム、ランチャー、Chromeを完全に終了する。debug.log で「k2f_chan registered」を検索する。確認が済むまでランチャーは起動しない |
| 手動で削除 | 見つかったら、公式が指定した場所と項目だけを消す |
| アカウント保護 | そのPCで使ったアカウントのパスワードを変える。APIキーやアクセストークンは破棄して発行し直す |
| スキャン | 対策ソフトのフルスキャンと、Windows セキュリティのオフラインスキャン |
公式によると、9月27日にランチャーが読み込むスクリプト4件が改ざんされました。10月30日3時52分に不正プログラムの配布が始まり、11月4日に異常を確認して止めています(公式:インシデントのお知らせ)。
一方、外部の研究者は、一番早い実行の報告として、日本時間の10月24日未明の事例を挙げています(piyolog)。研究者が集めた報告ですが、「10月30日より前の起動だから大丈夫」とは考えないほうがよいでしょう。公式の対象も9月27日以降です。
公式の手順に「初期化」は出てこない
PCの初期化について、手順を示した11月5日付の公式の2本には記載がありません。検索で「初期化が推奨されている」という説明を見かけますが、公式の言葉ではない点に注意が必要です。
では、どこから来た話なのか。出どころは外部の解析です。今回の不正プログラムを解析した人は、公開メモで「Windowsの再インストールが最も安全」と書いています(原文は英語、解析メモ)。動いていた間、攻撃者はどんな命令でも実行できたから、という理由です。
| 公式 | 外部の解析 | |
|---|---|---|
| 不正プログラムの中身 | 詳細は明らかにしていない(ITmedia) | 遠隔操作型。保存パスワード、Cookie、開発用の鍵などを読める作り |
| 初期化 | 記載なし | 再インストールが最も安全 |
| 読むときの注意 | 被害範囲は調査を続けている | コードを読んだ解析で、実際に何が盗まれたかまでは示していない |
正直、公式が「初期化してください」と書いてくれれば話は早いのですが、いまは自分で決めるしかありません。
検査で何も出なくても、安心しきれない理由
検査で何も出なかったのは、よい知らせです。ただ、感染していない証明にはなりません。公式も、「k2f_chan registered」が見つからない場合について「セキュリティ上のリスクを完全に排除することはできません」としています。
理由は3つあると考えています。
- 検査が見ているのは「本インシデントで配布された」ものです。遠隔操作で別のものが置かれた場合まで見ているかは、案内から読み取れません(そうした報告は確認できていません)
- 解析メモは、何の命令を実行されたかはログから分からない、と書いています
- 解析メモには、オフラインスキャンでDLLが見つからなかった1台の報告もあります
同じ時期に起動しても、出る人と出ない人がいるのは不自然ではありません。ある解析では、不正プログラムが配られたのは一部の起動時だけで、1台で約19回のうち3回でした(piyolog)。
「文字列なし」を言い換えるなら、「動いた形跡は見つからなかった」くらいが正確だと思います。
PCを初期化するかの線引き
筆者は「ログの結果」と「そのPCの中身」の2つで分けています。公式の基準ではなく、筆者の考えです。
| 確認の結果 | そのPCの中身 | 筆者の線引き |
|---|---|---|
| スマホ版だけで遊んでいる | — | 確認は不要(公式) |
| 検査でも手動確認でも検出されない | ゲームや動画が中心 | スキャンとパスワード変更まで。初期化はしなくてよいと考えますが、リスクが0とは言えません |
| 検査でも手動確認でも検出されない | ネットバンク、仕事や大学のアカウント、暗号資産、開発用の鍵 | 手間をかけられるなら、初期化を考えます |
| 公式の検査で検出された、または k2f_chan registered が見つかった | どれでも | 削除のあと、初期化をすすめます |
k2f_chan registered が見つかった場合、公式も「PC上で不正なプログラムが実行された可能性」があるとしています。動いていた間に何をされたかは、あとから確かめられません。
検出されなかった人は、感染の確率ではなく、失うものの大きさで決めるのがよいと思います。
【現役SEの視点】システムの運用をしていると、調べきれないときは「最悪の場合に何を失うか」で対応の重さを決めることが多いと感じます。ゲーム用のPCと、ネットバンクにつないでいるPCでは、同じ「形跡なし」でも取る手は変わるはずです。
もちろん初期化にはデメリットもあります。入れ直しに時間がかかり、バックアップの失敗でデータを失う危険もあります。それに、初期化してもすでに盗まれたものは戻りません。パスワードの変更は別に必要です。
初期化するなら、順番と持ち出すものに注意
初期化を選ぶ人は、次の順番で進めると手戻りが少なくなります。
- スマホなど別の端末で、パスワードを先に変える。メール、金融系、ゲームやSNSの順が目安です
- ログイン状態も切る。解析によると、Cookie(ログイン中を示す札)も読める作りでした。パスワードを変えても残るサービスがあるので、「すべての端末からログアウト」があれば使いましょう。公式の案内には無い、筆者の補足です
- 持ち出すのは、写真や文書などのデータだけにする。公式の案内では、不正なDLLはChromeの User Data の中に置かれます。このフォルダーをまるごと戻すのは避けましょう。実行ファイルやランチャーのフォルダーも同じです
- Windowsの入れ直しは、個人用ファイルを残す方法を避ける
「このPCをリセット」の「すべて削除」と、インストールメディアからのクリーンインストールは別の操作です。Microsoftは、感染が疑われるときはまずスキャンし、解決しなければクリーンインストールを選ぶよう案内しています(Microsoft サポート)。
遠隔操作ができたと解析されている今回は、検出された人はクリーンインストールのほうが安心だと考えています。メディアは別の安全なPCで作りましょう。消えるのは選んだドライブだけなので、複数のドライブがあるPCは注意が必要です。
ノートンやESETの検知報告は、こう読む
筆者が確認したXの投稿には、ノートンやESETが不審な動きを止めた、Defenderは反応しなかった、という報告がありました。一方で、ノートンのフルスキャンで何も出なかったという投稿や、ほかのソフトで反応が割れた投稿もあります。どれも個人の報告で、製品の性能を同じ条件で比べたものではありません。
| よく見る話 | 読み方 |
|---|---|
| ノートンやESETが止めた | 1台の報告としては参考になります。ただ、止めた動きが全部だったとは限りません |
| Defenderは反応しなかった | 時期やスキャンの種類で変わりえます。公式の手順も、Windows セキュリティのオフラインスキャンを指定しています |
| いまから入れれば安心 | 入れる前に盗まれたものは戻りません。前述の通り、スキャンで何も出なくても証明にはなりません |
意外と見落とされがちですが、今回は公式のランチャーを起動しただけで起きました。怪しいサイトに行かなくても起きるのです。Defenderに検知の層を足す意味はあると考えていますが、防げる保証はありません。一般論はWindows Defenderだけで大丈夫かの記事にまとめています。
ここから先は、今回の感染を確かめる話ではなく、今後の備えの話です。Xの個人の報告に名前が出ていたノートンとESETを、候補として挙げておきます。
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次への備えとして検討するなら、候補はこの2つです。
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※どちらも各社の公式サイト(広告)に移動します。今回の件の検知や、今後の被害を防げることを保証するものではありません。
有料の対策ソフトには、毎年の費用がかかります。ゲーム中に重く感じる人もいるので、無料の体験版があれば先に試すと安心です。
非公式ツールと、仕事のアカウントに注意
最後に、見落としやすい点を3つ挙げます。
- 出所や検査内容を確かめられない、個人配布のチェックツールは使わない。中部大学は学生向けの注意喚起で、感染チェックツール自体がウイルスである場合があるとして、公式の方法だけを使うよう案内しています(中部大学のお知らせ)
- 大学や職場のアカウントも変更の対象です。同じお知らせは、大学のアカウントのパスワード変更を求めています。職場のアカウントを使っていたPCなら、自分で片付けて終わりにせず、情報システムの担当に伝えましょう
- 被害が出たら公式の窓口へ。アカウントの異常や金銭的な被害は、ゲーム内のカスタマーサポートで受け付けるとされています。カードの明細も、しばらく見ておくと安心です。一人で判断がつかないときは、IPAの情報セキュリティ安心相談窓口に相談する手もあります
パスワードの流出が気になる人は、流出チェックの記事も参考にしてください。
公式の配布物や認定の表示だけでは確かめきれない話は、テレビの端末にもあります。型番の見分け方と買い替えの線引きは、Videostrong製品の公式一覧は未公表|KM2など182型番の見分け方にまとめました。
まとめ
- 対象は9月27日15時41分以降にWindows版のPCランチャーを起動した人。スマホ版だけなら確認は不要
- 手順を示した公式の案内に「初期化」の記載はない。再インストールが最も安全というのは外部の解析の見方
- 検査で何も出なくても、公式はリスクを完全には排除できないとしている
- 公式の検査で検出された人、k2f_chan registered が見つかった人には、初期化をすすめる。検出されなかった人は、PCの中身で決める
- 初期化するなら、別の端末でパスワードを先に変え、持ち出すのはデータだけにする。「すべて削除」とクリーンインストールは別の操作
- ノートンやESETの検知の話は個人の報告。いまから入れても、盗まれたものは戻らない
- 出所の分からないツールは使わず、仕事や大学のアカウントも変更の対象に入れる
引っかかった点
- 公式の案内に、不正プログラムが何を持ち出したのかが書かれていない点。利用者が判断するための材料が足りないと感じました
- 配布の開始が、公式の10月30日と、外部の報告の10月24日でずれている点
- 検知の話の大半がXの自己申告で、各社が今回の件を検証した結果を見つけられなかった点
参考にした一次資料
- NIKKE公式「PCランチャーのセキュリティインシデントおよび今後の対応について」2026年11月5日
- NIKKE公式「PCランチャーのセキュリティに関する手動確認方法のご案内」2026年11月5日
- PC Watch「NIKKE」PCランチャー改ざん、9月27日以降の起動で不正プログラム侵入のおそれ
- ITmedia NEWS 人気ゲーム「NIKKE」公式PCランチャーで不正プログラム実行か
- piyolog「勝利の女神:NIKKE」のPCランチャー経由の不正プログラム配布についてまとめてみた
- BleepingComputer NIKKE PC game launcher hacked to spread remote access, data-stealing malware
- 外部の解析メモ(GitHub Gist・英語、公式の文書ではありません)
- 中部大学「ゲーム『勝利の女神:NIKKE』をパソコンで利用された方へ」2026年11月6日
- Microsoft サポート「Windows の回復オプション」
- Microsoft サポート「インストール メディアを使用して Windows を再インストールする」
